活動報告

2019.03.30

プリンストン大学研究者交流 (2019.3.22-30)

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 2019年3月22日~30日の日程で、シニア・メンバー後藤春美・松方冬子・森永貴子(50音順)がプリンストン大学を訪れました。準備の過程では、以前にプリンストンを訪問された方々の報告が役に立ちました。

 まずニューヨークで1日半ほど過ごし、17世紀にオランダ植民地Nieuw Amsterdamが築かれたLower Manhattanにあるアメリカ・インディアン博物館や、メトロポリタン博物館などを見学しました。観光客用の説明プレートにあるthe Cathedral of Commerce, the Capitalist’s’ Capitalistなどの言葉が印象的です。

 ニューヨークPenn StationからNJトランジットに乗り、Princeton Junction駅で降りて、そこからタクシーでプリンストンに到着しました。 プリンストン大学のキャンパスは、マグノリアの花が咲いて、春の初めの様相です。ヨーロッパ中世のお城のような建物が立ち並び、庭にはリスやウサギがいます。  私たちのワークショップは、3月25日16:30~18:00に、202 Jones Hallで行われました。報告順に、松方”Correspondence between Crowns: Toward a World History of Diplomacy”、森永”Challenging Capitalism and the International Market: Tea Traders under Tsarist Russia in World History”、後藤”Challenging the Imperial Order: the League of Nations and East Asia” を報告しました。ひとり20分の報告時間で、30分の質疑応答の予定でしたが、少しずつ延びて、質疑の時間はあまり取れませんでした。Jeremy Adelman教授、Sheldon Garon教授が、メモを取りながら真剣に聞いてくださったのが、印象的でした。記録用の写真は、GHCのプログラムでプリンストンに滞在中の大学院生友松夕香さんがとってくださいました。また、2017年4月に松方が来た際にお世話になった日本語専門司書の野口契子さんも来てくださいました。  同行した3人は普段お互いにゆっくり話す時間もありませんが、こうして一緒に発表してみると、一見関係のなさそうな、近世日本を中心にした外交史・19世紀ロシア国際商業史・20世紀国際関係史が相互に関連していることがよくわかりました。講演前後に一緒に食事やお茶をしながら、歴史学や大学の現状について意見交換ができたことも、大きな収穫でした。

 研究者間交流として、森永はDickinson Hallにオフィスがある歴史学科のエカテリーナ・パヴリロヴァ氏と3月26日に、ステファン・コトキン氏と3月27日に(ともにロシア史)、それぞれお茶と昼食をご一緒する機会がありました。サンクトペテルブルクのヨーロッパ大学からプリンストン大学に移籍したパヴリロヴァ氏は19世紀ロシア帝国の経済史・金融史を専門にし、茶の話から日露戦争前の日本の金融制度確立まで幅広い関心を持って研究されています。日本に留学経験があるコトキン氏はスターリン時代などに関する著書があり、ロシアと極東の関係史にも造詣が深い専門家です。プリンストン大学の配慮で所属スタッフへの仲介をしてもらい、別日のワークショップに参加する機会も与えられました。また、別日に院生が「報告を聞きましたよ」と積極的に話しかけてきたのが印象的で、教員と学生のいい意味での垣根の低さを感じました。

 後藤と松方は、3月27日にLinda Colley 教授とドリンクをご一緒したところ、思いがけず、ご夫君のSir David Cannadine教授も途中から参加されました。3月28日には、Sheldon Garon教授にプロスペクト・ハウスでランチをご馳走になりました。プロスペクト・ハウスは、ウッドロー・ウィルソンの時代には学長の住居だった建物とのことです。4人の先生方は皆、以前GHCで来日された方々です。 28日には、Oxford 大学Patricia Clavin教授のレクチャー”Trade, Law and the Global Order of 1919”に3人とも参加し、夕食は、2017年に松方がお世話になったEast Asian ProgramのChao-Hui Jenny Liuさんがご自宅に3人をお招きくださいました。松方は、29日にFederico Marcon教授の研究室をお訪ねし、お話しすることができました。

 上記のような思いがけぬ歓待は、これまでの交流の積み重ねの結果と感謝するとともに、地道な交流を絶やさぬ努力が大切であると痛感しました。  (後藤春美・松方冬子・森永貴子)

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